第1回 国際的な組織づくりに向けて

盆栽は国境を越えて
 古い時代の中国にルーツを持つ盆栽は、日本の気候風土と日本人の感性、そして長年の経験の積み重ねによって芸術と呼ばれる域にまでに高められてきました。
 そして盆栽の魅力は広く世界の人をも魅了し、多くの人に親しまれるようになってきたのです。1960年代に入ると、各国に盆栽愛好団体も続々と誕生しはじめ、東洋の文化であった盆栽は、世界共通の趣味として楽しまれるようになりました。
 そうした機運をさらに高めたのは、1970年に開催された日本万国博覧会でした。日本万国博覧会で、日本盆栽協会は日本政府出展という形で、会期中の6か月間、日本庭園の一角で「盆栽水石展」を開催しました。本展では、世界各国から来場した人々に、日本の盆栽の素晴らしさを知ってもらおうと、著名な名品古木や季節の花物盆栽、そして水石を、定期的に展示品を入れ替えながら、述べ約1200点を展示しました。本展は日本万国博覧会の中でも大変な人気を集め、「最小の予算で最高の成果を収めた展示会」として万国博協会からも絶賛されるほどの成功を収めたのでした。
 そして、本展で初めて盆栽の素晴らしさに直に接した人たちが、その感動を各国に持ち帰ったのも、盆栽の普及に大きな影響を与えました。こうして、次第に盆栽は国境を越え、民族を越えて、それぞれの国に新しい文化として根付き始めたのでした。

 世界各国への盆栽の普及が促進するにつれて、盆栽愛好団体の活動が活発化し、国単位での大きな組織作りも進み、さらにお互いの交流と親睦を深める国際的なイベントも開催されるようになってくると、各国の指導者たちは「技術や人の交流を促進し、盆栽の国際的な発展を推進するには、各国を結ぶ国際的な組織づくりが必要である」という共通の考えを持つようになってきました。

世界盆栽会議で連盟設立を決議
 日本万国博覧会から10年。1980年に、日本盆栽協会は日本万国博覧会記念協会基金部の助成を受け、日本万国博覧会記念公園で「世界の盆栽水石展」をスタートさせました。本展では日本国内の盆栽や水石を展示するだけではなく、世界各国の盆栽愛好者に呼び掛け、盆栽の写真を募集し、パネル展示をしたのです。
 日本盆栽協会の呼びかけに応えてくれた海外の愛好家の中には、本展に合わせて来日してくれるグループも多く、本展は盆栽を通じた国際親善の場ともなりました。

 その記念すべき第1回展に合わせて、日本盆栽協会は各国の主要な指導者に呼びかけ「世界盆栽会議」を開催しました。参加者は、アメリカ、イギリス、イタリア、スペイン、オーストラリア、ドイツ、インド、アルゼンチン、韓国、中国に開催地の日本を加えた11ヵ国の指導者ら15名。会議のテーマは「盆栽文化の国際的な組織づくり」でした。
 会議では、各国代表からそれぞれの国での盆栽と活動状況が報告された後、連盟組織の設立について話し合った結果、参加者全員が全面的に賛成をし、次のような決議文が満場一致で採択されました。

決 議
 『世界11か国の盆栽愛好団体代表の参加を得て、世界盆栽会議を開催したが、会議は極めて意義深いものであった。
 われわれは盆栽が世界の人々を平和な心で結ぶ人類共通の薫り高い芸術であることに自信と誇りを持ち、今後、各国の愛好団体が連絡を密にして、盆栽芸術の向上と、盆栽文化を通じて国際親善を深めるために、世界盆栽連盟(仮称)の結成に向けて努力することを決議する。』

(続く)